鎌倉時代の三条中納言朝成がチャレンジした戦国時代以前のダイエット
ダイエット。
この響きに明るさはあまり感じられないのでは? ^^;
しかし肥満に苦しんでいる人は昔もいたようで、この事について医師に相談した事例も残っています。
これは戦国時代以前のオハナシです。
【宇治拾遺物語】という鎌倉時代に成立した書物に『三条中納言、水飯の事』という一文があります。
それによると、昔、三条右大臣定方の子に三条中納言朝成(さんじょうちゅうなごんともなり)という人がいました。
この人は学才に優れ、漢詩文にも通じ、思慮も深いエリ−ト。
しかし一方で、イザとなれば大胆で押しの強い性格の優れた人物でもありました。
こう書くと、大変立派な人に思えるのですが、たったひとつ、悩みがありました。
それは…
肥満だったのです…
見た目がどうというよりも、年々肥えていた様で、とうとう苦しくなるくらいに肥ってしまいました。
そこで医師の【重秀】という人を呼んで相談したところ、
『冬は湯漬けで、夏は水飯で食事されるのがよろしいでしょう』との事。
朝成は【重秀】のいうとおりに湯漬け・水飯で食事しましたが、いっこうに痩せなかったので、再び【重秀】を呼び、
『お前の言った様にしているが効き目が無い。何が悪いのか、ちょっと見ていてくれんか?』
そういうと近習を呼び、『いつもの様に水付けの飯をもってきてくれ』と命じました。
じっと見守る【重秀】。
そして食事が始まります。
まず、お膳の上に大皿があり、
・白い干しウリを三寸(約9センチ)に切ったものが10程
・尾頭付きの大きなアユ鮨が30程
・大皿の隣には金属製の大きな椀がひとつ。
その大きな椀にてんこ盛りに飯を盛ると、キモチばかりの水を流して目の前に置きました。
そして食事スタート!
まず、干しウリを三口くらいで食べ、次ぎはアユ鮨を二口で食い切り、そこに水飯をサラサラと流します。
それから例の大きなお椀を二度、三度おかわりしてやっと満腹するという始末。
さすがの【重秀】も
『確かに私は水飯を食べれば痩せるといいましたが、この調子では肥満が治るわけがございません』
そう言って逃げ帰ったそうです。
この水飯のダイエット法について、水分を多く含ませた飯は消化に良いので、ムダにエネルギーとして蓄積されないのではという説があります。
しかしこの食べっぷりでは、痩せるものも痩せないでしょうね。
【食べ物】というより【食べ方】の様な気もしますが…
という事で、戦国時代以前の【痩せる】(ハズ)オハナシでした。
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