戦国武将ファーストフード・湯漬けとはどんな食べ物?
現在では食べ物は良く噛んで食べることが奨励されています。
何度も噛んで食べる事で胃液の分泌が良くなり、消化吸収や栄養の摂取がスムーズになるとの事。
しかしいつ戦があるか分からない戦国の世では、常にゆっくり噛んで食べるワケにもいかず、【湯漬け】や【汁掛け飯】という食事法が重宝されたりもしていました。
まず【湯漬け】とはご飯にお湯を掛けたもので、現在でいうお茶漬けのお湯版。
炊いたばかりの飯でも、冷たい飯でも、アツアツのお湯を掛けることで、すぐに食べることができます。
つまり飯さえ用意しておけば、イキナリ食事を出せといわれても、お湯だけ沸かせばすぐに食事を出せるのですね。
文献にもこの湯漬けは度々登場します。
信長の生涯を記した【信長公記】には、信長が桶狭間に出陣する直前に『法螺貝を吹け、具足をよこせ』と言って、立ったまま食事をとり、兜をかぶって出陣したとの記載があります。
おそらくこの時に食したのは湯漬けだったという説があります。
さらに賤ヶ岳の戦いで秀吉軍に押された柴田勝家は、居城に帰る途中、味方なのに動かなかった前田利家のもとに寄り、『あとは秀吉を頼るがよい』と言って湯漬けを所望し、素早く立ち去ったとか。
急ぐときにの定番メニューですよね。
さて、この湯漬けは、少ない米で満腹を得る食事法だという説もあります。
これは私も経験があるのですが、茶碗にごはんを入れてお湯をかければ湯漬けが出来上がります。
しかしすぐに食べずにしばらくそのままにしておくと、ごはんがお湯を吸って膨張して柔らかくなるんです!
つまり少ないごはんがお湯を吸って増えるということ。
お粥もそうですよね。水分を吸った米が膨張して量が増えるんです。
このメリットは、少量の米の量を多くするという事で、消化も良くするということ。
戦国時代は現代より米も採れなかったですし、少しの米で満腹を得る生活の知恵だったのでしょう。
しかし腹持ちが悪いためにすぐお腹も減ってしまうというデメリットもありますが…
ともあれ、少しの米で満腹でき、なおかつ早く食べる事ができる、いわば戦国のファーストフードということで、湯漬けは定番のメニューだったのでしょう。
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